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Such a Lovely Place(1997)

1997年11月リリース、槇原敬之8枚目のオリジナルアルバム。
彼はこのアルバムのリリースに際し、デビュー当時から所属していたレコード会社(WEANER)から別のレコード会社(Sony)へと移籍している。
以上でデータ的ハナシは終わらせておこうと思う、早速本題。

「槇原敬之のアルバムで一番好きなオリジナルアルバムは?」
そう訊かれて、このアルバムが出てくる割合は相当低いのでは?と思う。
"一番"という限定が入ると選ばれ辛い。此れを思ったのは、このアルバムから6年経て7年目になる2004年3月、The Gospellers『Dressed up to the Nines』を聴いた時だ。
「『Dressed up to the Nines』ってスゲー槙原の『Such a Lovely Place』みたいだ…」
そう思った。
「Right on,Babe」が「うたたね」で「シアトリカル」が「印度式」。
そうなると「街角-on the corner-」が「Such a Lovely Place」よね。
てなると、「コーリング」は「足音」だよなぁー…
其処まで思って。ふ、と思った。
「でも『Such a Lovely Place』って彼のオリジナルアルバムでも"マキハラ聴くならこの一枚"に推す人が少なそうだな」



自分が人に"この一枚"と訊かれて通好みぶって渋いところを選ぶなら。でしょ、もし選ぶなら。正直、相手を選んで、自分がひねくれない限り選ばないだろう。素直さを出して「ここはほら、第一段階として(昔のアルバムだけど)わかりやすく初期の君三部作から一枚」と思う。
"この一枚"の条件をもう少し緩めて「3枚選んで良いよ」と仮定する。それでも難しい。
それより少し幅を広げてみよう、「5枚でどうだ」
それでも選ぶ人は少なそうだ…、と思えてしまう(何故だ)。
かといって売れなかったアルバムではないのだ。加えて前作『UNDERWEAR』の差し迫った感じ、それに伴う閉塞感を打破し切って余りある作品なのに(『Such a Lovely Place』リリース当時のプロモーションで、彼は「『UNDERWEAR』は遺作のつもりで作った」的発言をしている)。

ひとつひとつの曲が丁寧に作られていて、曲調もバラエティに富んでいる。
アルバムの構成もしっかりしていて、全体の流れがちゃんとしている。
そして、このアルバムはランダムに曲を聴くのではなく、アルバムの曲順通り、「うたたね」から「Such a Lovely Place」の流れで聴くことをお薦めしたい。一度で良い。曲順通り流すことで作り手の意図がよりよく伝わるのでは。
アルバムのクロージングに置かれた「Such a Lovely Place」では「うたたね」のフレーズがギターソロに織り込まれ、「うたたね」で生まれた流れが、此処に到達したことを知る。
そしてまた「うたたね」に戻ることで、私たちは「Such a Lovely Place」に帰る(還る)ことが出来る。ひとつ、くるりと輪(ring)が描かれたのを感じることが出来る。
-----、それっくらい。には、実に出来たアルバムなんだけどなあ(嘆息)
なかなかNo.1になれないんだよね。
こういうの、隠れ名盤とか言うんだよね。と思うことにする。

Such a Lovely Place
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