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This Is It(2009)

この映画について語る前に、私がMichael Jacksonに関して持ち得ている知識を。
「Billie Jean」「Thriller」「Beat It」「Human Nature」「Man In The Mirror」「Black or White」「Heal the world」くらいなら聴いて「あ、この曲は此れだ」とわかる、この程度。あとは、このentryにあがっているPodcast音源、加えて『キラ☆キラ』水曜3時台の西寺枠は毎週おさえてある、程度の知識。
洋楽は基本的に守備範囲でないため(代わりに'90年代J-POPは前半後半ともに無駄に知識にまみれているのだが)事前に当該映画のネタバレ文章を一読してから行った(自爆)
事前に読んでおいても、私にとってネタバレではなく鑑賞の予備知識にしかならないだろう。そう判断して。

という人が観たわけですよ、映画"This Is It"を。感想は「続きを読む」で、みっちりと。

事前にネタバレとして読了したのは、以下の文章。
吉岡正晴のソウル・サーチン : 2009/10/28
吉岡正晴のソウル・サーチン : 2009/10/29[映画のネタバレ有]
吉岡正晴のソウル・サーチン : 2009/10/30
ネタバレというよりは映画鑑賞する前、パンフレット買って粗筋に目を通しておく。そんな作業に近いと思って頂ければ。

映画は冒頭、その人が亡くなったことを告げる。そして、その人の歌い、踊る姿が残されたrehearsalの映像があることを告げて始まる。
先ず、Londonで行われるだろう公演への期待を語るtourの参加メンバーたち。彼らは、彼女たちは、この後に来る死を知らない。キラキラとした視線が痛いほどだ。映画は、その後のtour参加メンバーの悲観には一切、触れない(映画冒頭、そして、最後に、Michael Jacksonが残した3人の子ども宛にmessageが添えられる)。
映画全編で触れることが出来るのは、Michael Jacksonが歌い、踊る姿だ(頻繁にワイドショーで流された、女性ギタリストと向き合う画は勿論、ある)。時にdancerに声をかけ、ある時は振り付けをつけ、musicianと意見交換しながら音をbrush-upし、liveで流すための(そのための)映像を撮影する。全ては7月に幕の上がるshowのために。

"Smooth Criminal" での、会場内で流す映像の懲り様。旧き良き時代を思わせる白黒で撮られる。PVの範疇になくて映画じゃないか。そう思わせる程に(ああいう映画、あったよなぁ…と思ったら、そうじゃなくて、このために!というのが!!)。
サラリと歌われるものの、それでも歌の巧さがバリバリ感じられる"Human Nature" であるとか。
"I Want You Back" では珍しく、曲を"流す"様子が観受けられる(これには、ちゃんとした理由がある。至極納得出来る理由が。これは映画を観て確認してほしい)が、他はこれがリハなのか?そう思えないくらい。特に、映画序盤。何種類も映像が残されているところからして、マメにcameraを回していただろうあたりは、それを思うのだ。この人に、どこも弱々しいところがない。死の匂いすら、しないのだ。
どこが声をsaveしてんだよ!?と思うくらい、vocalも出ているし、動きもキレがある(考えてみたら50代なのだ、あんなに踊る50代いるのか)。「今はwarming upしているから声をsaveしている」という発言が途中、出るが、それでもduet相手の女性をも凌いでみせるのだから。
空恐ろしい。
これが今年7月のLondonで、50日間といわれる公演として幕が開いていたら。先ず、この"This Is It"という映画は作られなかっただろう。それは思う。

映像で圧巻だったのは"Earth Song" か、ここをひとつの頂点に映画はclosingへ向かう。
続く"Billie Jean" "Man in the Mirror" は強烈な映像美よりも、ただ、彼が歌う。そのことだけに注視した感じが、私にはした。映画序盤の数曲は、rehearsal映像が数日分あったからか、画質は粗いものの画面三分割といった構成もあったが、このあたりになると映像が無かったのかもしれないが、ある一日の映像に絞られている。
めまぐるしくて目が忙しかった序盤が手が込んでいて、というわけではない。注視するように、終盤から、ある一日のみの"その曲"に絞ったことで、より曲の輪郭はグングン伝わってくる。そんな感じを受けた。

あれがrehearsalなのか。という驚愕。
映像で、踊りで、歌で、見えるもの全てで、ここまで彼らはやり切るのか。
しかし。
そして。
何故、神様は、(彼曰く)最後のshowの幕が開く前に彼の命を奪ったのか。
あれが目の前で、三次元のsizeで繰り広げられていたなら。
そう思うと切ない。

そういう切なさに似た悲しみを、どうしても、最初は抱く。
けれど、二度目からは違う目線で観る。観れると思う、そういう映画でもある。
この映画には音楽が生きていて、結果的に観ることのなかったstage上でキラキラ溢れただろうと想像出来て、映像の中にはstage上で全身全霊でentainしよう/させようとする人たちがいる。
音楽で、ここまでやるのか。それに驚嘆し、涙が出る。
どうしても悲しみが先についたが、観終えて、逆に、すっきりとした。ここに感傷はない。
次に観る時は、liveの疑似体験として熱狂と共に、音を楽しむだろう。1曲1曲に拍手をする。本当なら、それが彼の願いだったろうから。

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