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フィルムの向こう側(1989)

子どもながらに覚えているのは「フィルムの向こう側」の後の南野陽子の歌の記憶が1mmもないこと。確かに"1mmも"とは表現キツいが、思い返してみたところ、この曲の後、どんな曲が出たか?の記憶がキレーーーサッパリないのだ。
音楽の嗜好性が出て来た頃ではあっただろうし。で、それもあってかなあと思ったが調べて、更にbest album(single collection)を手に入れて、聴いて納得。した。
-----、あーー、こりゃー(頭を抱える)
ホントに失礼だが、これはキレイサッパリなくて良かったかもしれん。この後の彼女、アイドル路線から脱却を図って失敗。"THE END"、----なのね。

さて。
アイドル・南野陽子のsingleとなると思いつくところは「楽園のDoor」、「話しかけたかった」、「はいからさんが通る」、「吐息でネット」てな辺りなんだけど(個人的に「秋のIndication」がとてもよろしいと思えた)、そんな最盛期のsound productを引き継いでの最後の花が、この曲。と思えば良いのかなぁ…
ただ「はいからさんが通る」のようなアイドルが前に出た明るく前向きメッセージ!てのは、この曲に無い。サビはなにせ、こう。

遠い話と瞳(め)を閉じますか
見知らぬことと言えますか
-----南野陽子「フィルムの向こう側」より

繊細で柔らかな手触りの音に乗る、この歌詞。ひっかかりますね、見逃せないし耳に残る。
それ以上に。degital camera全盛の今となると、この曲のタイトルにある「フィルム」に、カメラを使うことはフィルムを使うことと同義だった時を思うのだ。
薄いフィルムに残る愛の姿はもういいよ
-----南野陽子「フィルムの向こう側」より

35mmのフィルムカメラをいじりだして、リバーザルフィルムに手を出した大学時代。35mmの薄いフィルムに鮮やかに切り取られる一瞬一瞬に一時、夢中だった。リバーザルフィルムを写真店に出し、数日後、スリーブで出してもらうようにする。受取ったらルーペで一枚一枚チェックする。兎に角、上手く撮れない。でも捨てる大量のコマから、ひとつのコマを選ぶ。
フィルムは残る。切り取らない限り、そして、それを捨てない限り、手元に。でも、あの頃、勿体なさも手伝って、それらのフィルム全てを捨てきれずにファイリングして、残していた筈だ。
そんな時代から変わった。
記憶媒体に残しといて、ほったらかしてても良くて、嫌になったら即座に消去する時代になってしまった。写真を撮れば、そのコマをその場で確認する、なんてこと、フィルムじゃ出来なかったことを普通にしている。
もう、幾ら撮っても現像に回さないとならない頃と違う。
カメラに切り取られる「あの日、あの時、あの姿」、その一枚一枚の厚さは随分薄く、ひとコマの重さは軽くなったように思う。

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