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深愛(1998)

後に河村隆一自身がself coverしている、stageで良く歌っていることから察するに、河村自身、作曲者として相当手応えを感じた一曲だったんじゃなかろうか?
河村がproduceしていた三人組、Say a Little Prayer「深愛」を聴くと、そんなことを思う。

Say a Little Prayerは、tv番組主導で生まれた三人組だ。そういうこともあって楽曲に入る手前で、予備知識に一枚"イロモノ"感が挟まり易くなる。同じ番組に出演していた(しかも)後発のモーニング娘。も最初期、そういったところを感じた。
だが、当の本人たちが驚くほどに"イロ"が無かった。このあたりが年齢バラバラ、身長バラバラ、全てにバラバラな五人というイロモノから、徐々に"個性"が前に出て、一時は隆盛を極めるモーニング娘。とは違う。
audition番組発のdebut予備軍から選抜で選ばれた三人とはいえ、まだまだ原石。未だ素人同然な雰囲気を残しているところが、debutから少し経った「深愛」でも、わかる。



己を飾ろうにも飾れない。本人たちが飾りの重さに、化粧の濃さに負けてしまう。
だから決して無理をしない、彼女たちの素の良さを出せるような曲を与えよう。
サビを歌い上げようにも、その歌唱は一人ではもろく、未だ、つたない。
だからサビのmelody lineは同じものを彼女たち三人になぞらせる。三つの声を一つに束ねて花束のようにしてみせるstyleを取る。
最初はそれぞれ一人ずつ歌うが、サビに来て、三人の声が重なる。これにより、それまで見えた個々の頼りなさ、線の細さといった弱点は、彼女たちのひたむきさ、一生懸命さへと生まれ変わる。
だからだろうか。彼女たちの活動期間が短かったのが、今となれば、わかる気がするのだ。
これが長く続くはずが無い。

この曲は凄く"idol song"だ。しかも、他の誰が歌っても、皆が良い!と口を揃えて共感し、曲の主人公になって感情移入できる曲。
この曲は河村にとって大きな一手であり勝負手にして会心の作。だから今も大切にし、自身で歌うのだろう。

Say a Little Prayer best album『Best』より「深愛」(iTS)

BEST
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Say a Little Prayer
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