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証拠物?pt.2

先日昔のプリクラのフレームをネタの俎上にした際に、確証持てない不完全版ながらセットリストが手帳に走り書きされてるのを発見。で、この写真。
該当ライブである[1997/11/01]学園祭ライブ@清泉女子大学講堂のエントリーに写真入れておきました。エントリーな方には別の、もう少し文字がはっきり読める写真を。
思えば、社会人でもないのにバイブルサイズのシステム手帳のリフィールを使う。伊東屋(東京銀座にある有名文房具店)にリフィールを買いに走るという実にマセた大学生でしたよ…(今は、ほぼ日手帳一択です)

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MO' BEAT(1997)

少年は大人になる。

インディーズ時代のミニアルバム『Down To Street』、メジャー(Ki/oon)から出されたアルバム『The Gospellers』と『二枚目』。どちらのアルバムにも現役大学生複数名の日常の延長線上にアルバムがあるように見える。彼らのリアルな生理がそこにあり、平均年齢20代前半の5人の青春群像がそこにある。
恋愛を歌うにしても、恋愛を歌わないにしても、それが等身大だろうと、大人びた背伸びだろうと、彼らの日常が匂いたち、垣間見える。とキレイな言い回しをしてみたが、彼らの日常と歌詞の世界がフィクション/ノンフィクションの境界なく、地続きに繋がってしまう。時としてモラトリアム真っ只中、現役大学生の青春群像が音楽の中に紛れ込んで、心を揺さぶり、響く。これが初期ゴスペラーズの特徴だと言える。
だから大学生の「いかにも!」な合コンの1コマを切り取った(だろう)「Winter Cheers!」も出てくるわけで-----「Winter Cheers!」を聴いて「ええええー!まんますぎる」とズッコケた記憶があるが-----、恋愛を歌った「U'll Be Mine」「カレンダー」にしても、恋愛がおおよそ絡んだ感じのない悩める青春路線ブッチギリな「Higher」にしても、どちらにせよ、根は同じ"現役大学生の日常の延長線上"。

ゴスペラーズの詞は大雑把に、恋愛恋愛する以前/恋愛恋愛する以後と分けられると思う。そのうち、恋愛恋愛する"以前"の時期はインディーズからデビュー数年。「あなたに歌う」というコンセプトで固めた『Soul Serenade』の頃には既に恋愛恋愛するゴスペラーズがいて、それは今なお続いている。
じゃあ何故、以前以後となるのか。『The Gospellers』制作時を振り返っての発言に「これも作った曲、全部入れたんだよな(半泣半笑)」と黒沢氏発言(2002)があるが、この発言が制作当時を端的に、かつ十全に表していると思う(だからBOTに発言を放り込んでいる、というのは、ここだけの余談)。
「作った曲全部」入れたら、『The Gospellers』というアルバム一枚の中に「Promise」と「Higher」が収まるのは必然である。
アルバムのコンセプトは、こう。だから、こういう詞が欲しい、詞の外注を出そう。これは自分たちで手掛けてみよう。こういうことを歌いたい------、というのはあっても出来るかといえば、そのスキルが備わってなければ出来ないことだし、時間不足で出来ないこともある。曲のストックもなければ、曲のふるい分け(ボツ曲と、暫時ストック曲と…といった作業)も出来てたかどうか…
レコーディングというのは音を録音するだけじゃなく、その時々の雰囲気や当時の力量をも記録されてしまう因果なもの、と私が思うのは、だからだ。

『MO' BEAT』のアルバム・プロモーションがかかる前に、アルバム『MO' BEAT』のタイトル曲「MO' BEAT」は彼ら出演のNACK5のラジオ番組でOAされていた。彼らが話をする後ろで流されていたのだ。その証拠に、都内の中古CD店で何度か「ウルフ」と一緒に「MO' BEAT」が入っているサンプルCD(業界配布モノですね)を見たものである(「CDとの出会いは一期一会」な中古CD購入道に照らし合わせると"何度"というのは遭遇率高いほうですよ)。
彼らがここでプラスしたのは"MO' BEAT"-----つまりは"MORE BEAT"、もっとビートを。時代に対応したビート感。
こういうアゲ曲、オレの好物なんだよねー弱いんだよねー(この後、「真夜中のコーラス」で同じように悶絶したのだった)と『MO' BEAT』リリースまでの間、心躍らせたのをよく覚えている。今となれば「こんな頃がオレにもあったのよ…、ョョョ」なのだが(自爆)
「MO' BEAT」に出てくる、日曜の朝に踊りつかれる人物像は夜遊びが効く人間ということなんだろうけども、社会人というよりは、どうにもモラトリアム真っ只中な大学生(作詞した村上本人)っぽいんだよなー…
そうやって詰めて考えていくと、「MO' BEAT」の詞の傾向は「Higher」に見られる非恋愛系・青春群像モノになるのかしらん?なら恋愛系・青春群像モノ…となった時には「Winter Cheers!」になるのか(爆)となるわけでして。

とはいえ、この手のモラトリアム大学生的青春群像は「MO' BEAT」を境になくなったように思う。非恋愛系・恋愛系あれど、そこに"青春群像"がくっついてくる感じは「MO' BEAT」で最後!という。
少年は大人になる。その大人になる最後の時に出たのが「MO' BEAT」という…
この後、ゴスペラーズは学生気分が抜けた作品が並んでいく。「終わらない世界」とか「Vol.」とかは青春群像とはチト違う仕上がりだし、「夕焼けシャッフル」の頃に一部現役(留年)大学生組が卒業を迎えるが、その「夕焼けシャッフル」は青春群像から、より普遍的なところ(皆が「あるある」と言いそうになるところ)に落とし前をつけようする努力が見える。
それに『Vol.4』自体がスキルを備えたプロミュージシャンらしい作品集という仕上がりになる。
徐々にビルドアップされつつあるプロミュージシャンらしい音楽面と(格上路線のない)等身大の彼らの生理、それでも歌詞に残る青春群像。
「酒井さんが恋愛モノをおおおおおお」と早朝からFMで曲を聴いたら最後、絶叫→知人筋にFAX流して大騒ぎという顛末を繰り広げた「t.4.2.」の話とかしたいのだけど、結局アルバムタイトル曲「MO' BEAT」の話しかしなかったなー…
その点は反省。

MO’BEAT
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