第17話BACK / 一覧 / NEXT 

茗子の別れ
「さよならなんてできない!」

(腐りモード)
DATA
放送日(KEY局)1994.07.03
視聴率(関東)15.7 %
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アイキャッチ(A)光希-遊-銀太
アイキャッチ(B)茗子-悟史-なっちゃん
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オープニング笑顔に会いたい(ver.1)
エンディング素敵な小夜曲
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収録巻(ビデオ)vol.5
収録巻(DVD)DVD-BOX Part.1- DISC 4
収録巻(LD)Marmalade-BOX 1- 5A
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補完1放送日1997.07.17
補完2放送日2002.02.01

[スタッフ][ストーリー][感想][瀬川さん評][次回予告]

STAFF
脚本影山由美
美術襟立智子
作画監督川村敏江
演出矢部秋則
原画阿部達也
氏家章雄
矢ヶ崎美恵
坂本充子
北條直明
津田昭宏
動画ポール・アンニョンヌエボ
ジョー・ルナ
フリッツ・ウラング
デイビット・キャスティロ
背景塩崎広光
大関恒雄
ビクター・ビラミル
グレンダ・メンドーサ
仕上ピーコック
シメダ・ロジコ
 
色指定衣笠一雄
仕上検査堀内由美
特殊効果中島正之
撮影三晃プロ
EEI−TOEI
編集花井正明
録音川崎公敬
音響効果石野貴久
選曲茅原万起子
記録伊藤好子
演出助手雄谷将仁
制作進行川西泰二
美術進行田村晴夫
仕上進行森田哲庸
挿入歌ママレード・ボーイVOL.3
「ママレード・ヴォイス!」より(アポロン)
録音スタジオタバック
現像東映化学
声の出演
小石川光希國府田マリ子
松浦 遊置鮎龍太郎
秋月茗子山崎和佳奈
茗子の父梁田清之
茗子の母阿部道子
お手伝いさん大野由佳
名村慎一古谷 徹
協力青二プロダクション



 ● ストーリー
 光希はベッドに寝転がっていた。
 名村の言葉が次々よみがえってくる。
 こんなときに一緒に悲しんでくれる茗子も自宅謹慎中である。
 茗子は名村が教師を辞めることを知っているのだろうか・・知っていないのでは。そう思いコードレスを取って電話をかけようとするが、あのときの茗子との言葉がよみがえってくる。
 「茗子は私なんかを必要としていないのかな・・」そう思って電話をやめる光希であった。

 事実、次の日になっても茗子は名村が教師を辞めると言うことを知らなかった。自宅謹慎の上、電話は全くつながれない。外との連絡手段が全くないのだ。
 そんな茗子にできるのは窓から庭や門を見ることだけ。
 下の部屋では両親が言い争っているのがきこえる。
 茗子の親であるということの責任のなすりつけあい。
 茗子の方が限界に来ていた。
 そのとき、門のところに人影が。
 インターホンが鳴り、電話を取ったお手伝いさんの顔が変わった。
 そう、名村が門の前に来ていたのだ。
 茗子や両親に会わせてほしいと頼んだが父親の怒号で拒否されたのだ。
 茗子の部屋を見上げたがそこには茗子の姿はなかった。
 もう、茗子に会えることもないだろう、そう判断したのだろうか、メダイユを取り出し、自分の写真を撮り握りつぶした。
 そして、からのメダイユを郵便受けに入れた。そう、これですべてを終わらそうとしたのだ。

 教室では名村の変わりに教頭が英語の授業をしていた。
 名村いない教壇といい、茗子のいない机といい、何か夢を見ているようだ。悪い夢ならばさめてほしいが・・。
 そんな、光希を見つめる1人の男性・遊に光希はまだ気づいてはいない。

 名村のアパートでは荷物がすべて運び出され、引っ越しの準備が完了していた。
 あるのは電話ぐらいのものだ。
 名村はその電話を見つめていた。

 父親の車がでていくのを茗子は部屋の窓から眺めていた。
 これで、今日は両親の・・いや、茗子は両親とは呼ばずにあの人と呼んでいるから、あの人たちのケンカを聞かなくて済むとでも思っているのだろうか。
 本棚にあったアルバムを引き出して眺めた。
 光希や名村、クラスメートたちととっと写真が多く、茗子と名村の2人で写っている写真は少なかったが、学園祭や修学旅行など楽しい思いでばかりだった。
 そのとき不意に電話が鳴った。もしやと思ったが、今の茗子には電話を取ることができない。
 もし、茗子への電話であったとしても取り次いではもらえないだろう。
 すると、ドアをノックする音が聞こえた。
 そこにはお手伝いさんが電話を持ってたっていた。
 名村からの電話のようで、気を利かせて持ってくれたのだ。
 茗子はその電話で初めて名村が教師を辞めるということを知った。そして、広島へ行ってしまうということも。
 茗子は必死で名村を止めようとしたが、名村は振り切るかのように電話を切った。
 茗子は信じられないと行った感じで、呆然とただ立ちつくしていた。
 そこへ再びドアがノックされた。
 お手伝いさんが郵便受けに入っていたメダイユを持っていたのだ。
 ドアを閉め、メダイユを開くと、名村の写真が無くなっていた。そこで、名村が自分の目の前からいなくなるということがわかったのだ。
 茗子は何かを決めたように、クローゼットの戸を開いた。

 そのころ、光希は自分の部屋でぼんやり寝ころんでいた。
 名村と茗子が別れるということを知らない光希にとってはただ、今後の事を考えるだけであった。
「連距離恋愛は大変だろうし・・」自分に恋人ができるとこういうつらい思いするときが来るのだろうか・・。
 光希は名村が茗子とと別れるということを知らないばかりか部屋に閉じこめられているということさえも知らなかった。
 そのとき、チャイムの音がした。
 少したつと、ドアのノックの音がした。
 遊が「客だぞ、秋月。」というと、光希ははっとなった。
 しかし、あのとき公園での背を向けた茗子が思い出されて、何もできなかった。
 遊は激しくドアをノックしたが、茗子が遮った。
 そこで茗子は光希に語り始めた。その場を離れようとした遊にはその場所にいるように頼んだ。
 茗子はこの前のことを謝ると、名村との事を語り始めた。
 茗子の脳裏に昔のことが浮かんでくる。
 あの、初めて入った図書館で名村に出会い、そこで、恋に落ちたのだった。
 図書館ではいろいろなことがあった、名村の手帳を見ておこられたこともあった。
 茗子は名村とのことをすべて話すと、自分から見て光希をどう思っているか正直に話した。
 それを横で聞いていた遊は不思議に思った。
 なぜ、自分にそういうことを話すのだろうか?
 あくまで、光希と茗子の親友である問題だから、自分は関係ないはずだが。
 茗子は自分の目から見た光希をいっているが、それは、自分に対してもいっているのだろうか、光希にはこういうところがあるよというふうに。
 自分は孤独だけど、光希がそばにいれば、孤独ではなくなるとでもいいたいのだろうか・・。
 茗子の話が終わった。遊は茗子を送ろうとしたが、「タクシー待たせてあるから」といわれた。
「光希をよろしくね」といわれたとき遊ははっとなった。きっと名村を追いかけるのだろうと感じた。
 遊は光希の部屋に飛び込み、光希に茗子を追いかけるようにいった。
 光希は茗子を追いかける自信がないといったが、『茗子の親友だろ』という言葉で、行くことを決意し、遊とともに茗子を追いかける。

 名村は東京駅の新幹線ホームにたっていた。
 そう、新幹線に載って広島に帰るのだ。
 そこへ茗子がやってきた。
 一緒に広島につれていってほしい、さよならなんてできないというと、名村は茗子を抱きしめた。

 そのころ、光希と遊も東京駅にやってきた。
 新幹線乗り場の近くまではやってきていた。
 遊の背後で光希が転んだ。
「もう間に合わないよ」とあきらめる光希に遊は「遊は今の茗子を支えられる人は光希しかいない」といい光希はその言葉に励まされて、新幹線ホームに走って行った。

置いてきぼり茗子〜(似てない...T_T))  新幹線ホームでは名村の乗る新幹線の発車が近づいていた。
 名村は茗子からゆっくり離れた。
 名村は茗子にきっぱりと広島につれていけないことを告げた。
 茗子も今までにない激しさで名村に言った。
 しかし、名村はもう心を決めているのか全く動じなかった。
「待っているのもダメなの?」
「そんな約束でお互いを縛るべきではない」
 そこへ無情にも発車のベルが鳴り出した。
 茗子に背を向けて、名村は列車に乗り込んだ。
 茗子は名村の腕にすがり、胸のポケットにメダイユを入れ、キスをした。
 しかし、名村は、それに答えようとはしなかった。
「ドアが閉まります」という場内アナウンスが響いた瞬間、名村は茗子を押し戻した。
 そして、ドアが閉まった。
 ドアのガラス越しに見つめ合う2人。
 だが、名村はその視線をそらした。
 列車はすべるようにホームをでていった。
 茗子はただ呆然と立ちつくしていた。

 ほんの少したったときに光希と遊はホームに駆け上がってきた。
 前方を見ると、茗子がたっているのが目に入った。
「おい!あれ。」
 遊の言葉を聞いた光希は遊の視線を追った。そこには茗子がたっていた。
 光希は夢中でかけだし、茗子に飛びついた。
「光希どうして・・」
「なっちゃんは?」
「言っちゃった・・つれてって・・って頼んだんだけど、ダメだって。待って・・ってさけんでも振り向いてもくれないで・・」
 茗子はたまりかねたように光希に抱きついて泣き始めた。
 茗子は光希の胸の中で泣いたのだ。

 名村は列車の中で空を仰ぎ、目を閉じた。
 茗子には見せたくなかったのだろうか、名村は涙を流した。
 これで、すべては終わったのだと思った。

 茗子を抱きしめる光希、そして、それを見つめる遊。
 そんな3人を夜は包んでいた。
 しかし、茗子と名村の恋はこのまま終わってしまうのだろうか、いや、終わらないだろう。しかし、その話はまだまだ先の別の話だ。
(大杉駅さん)


ほわいとさんによる<<第17話ステータスレポート>>
亜梨実  ・・・ 出てこなかった。どこかで、「遊ー」とか叫んでいるのかな?
光希   ・・・ 茗子の言葉で傷つき自信をなくしていたが、復活〜。
茗子   ・・・ 謹慎中。なっちゃんと駆け落ちする決心をする。光希ちゃん、遊になっちゃんとの思い出を話す。
悟史   ・・・ なっちゃんが帰った事で、喜ぶべきなんだが、なんだかすっきりしない気分だと思う。
遊    ・・・ いつもは光希ちゃんに冷たいようだが、やるときにはやる。光希ちゃんを復活させた。
銀太   ・・・ たぶん、なっちゃんが学校を辞めないように熱演しているのだと思う。
六反田  ・・・ 行動不明。当分姿くらましてるな。
両親s  ・・・ なにしてるのか全くの不明。
なっちゃん・・・ 茗子ちゃんが東京駅まで追っかけてきたのに、振り切って広島へ帰る。
桃井先生 ・・・ 茗子ちゃんと同じくらい苦しんでいるはずだけど、どうして出てこない?


 ● 感想

■ママレ補完計画2より


ともちんさん 2002/02/01 (金) 23:58

第17話感想です。

ほんっとに辛い展開ですね。
少女漫画でこの展開はありなのかい!?
と思わず突っ込みたくなってしまう。
ハッピーエンドの心温まるお話しを期待してレンタルしてきた
私の気持ちはどこへ行けばいいんだぁ!!
結果的にこの別れが二人を・・
いや、茗子を成長させるのだから文句は言えんが、
名村ぁぁぁぁ!!と、別れのシーンでは怒り心頭ですね。
でも、あの新幹線が去ってゆくシーンで見せられた涙で全て許せてしまう。
その涙は茗子に見せてあげて欲しかったけどね。
大人の男のけじめかぁぁぁぁ!!

この展開って、後々の遊にも影響を及ぼしていない?
ダメとなったら姿を消す。
教師が教師なら生徒も同じなのね・・・。
それで残された女の子がどんなに傷付くのか知っているのかしら?

とにかく、茗子にはがんばって欲しい。
そして、光希よ、いいかげんにしなさぁぁぁぁい!
茗子のためにいいかげんお子ちゃまは卒業しなさい!!


CHOさん 2004/03/21 (日) 00:13

なっちゃんが広島へ・・・それを追う茗子しかしなっちゃんは連れて行けないと拒む・・とてもシリアス展開で泣きそうです。なっちゃん実は茗子を連れて行きたいのに連れて行けない気持痛いくらい分かります。茗子もかわいそうでならないです、教師と生徒というだけで離れ離れにならなければならないなんて可哀想です。しかたがないとわかってはいるんですけど・・
最後にこの15〜17話を見て茗子をヒドイ奴とか嫌いになったという人がいたら茗子のことを許してあげてください。茗子も自分のことを光希に話せなかったことを後悔していますしこれからは少しずつ変わっていくと思うので許して見守ってあげて欲しいです。


あきさん 2004/04/18 (日) 10:57

なっちゃんが旅立つとき・・・
めっちゃ号泣しました。

メイ子があんなにも好きなのに・・・・。
あんなふうにはなれちゃうなんて。
無理矢理でも新幹線乗っちゃえぇぇ!!!!って
思っちゃいました。


ゆき☆☆さん 2005/03/03 (木) 19:44

めいこ大好きなんで・・・悲しいです・・・めいこはお金持ちのお嬢様だし高校生だし連れて行けないのは分かるけど、辛いです・・・


りんりんさん 2005/06/02 (木) 00:17

もうすごい感動してうるうるきました。あのときのめいことなっちゃんの顔が忘れられません。だいすきです。


■ママレ補完計画より

ほわいとさん

 なっちゃんったら、茗子ちゃんの家のポストにメダイユいれるなんて、茗子ちゃんに未練があるんだ、やっぱ。郵便受けを見た人(お手伝いさん)が気がきく人でよかったね。
 茗子ちゃんとなっちゃんの遠距離恋愛が始まるとは思わなかったよ。なっちゃんは、生徒から熱い声援を受け手いるのでなんだかんだとあっても、学校を辞めるとは思わなかった。でも、それ以上に茗子ちゃんが駆け落ちを考えているとは、もっと予想外でした。
 なっちゃん、なんかウジウジしてるように見えたな。しゃべる事が、全部いいわけポイ感じ。

 茗子ちゃんのなっちゃんへの告白、泣きながらでした。あーやって迫られると弱いね。なんか、(なっちゃんの手帳を無断でみて)不安な気持ちの時に現れるなっちゃんもヤルーとは思ったけど。いったい、この日、なっちゃんはなにしに図書館へ行ったんだろう。

 遊に光希ちゃんの事を頼んでいくなんて、茗子ちゃんのはなむけかな。遊、いざというときは頼りになるね。銀太でも、同じくらい光希ちゃんのために努力してくれると思うけど、こうゆう時には、同居している遊は有利だ。東京駅で光希ちゃんころんじゃったけど、けがしてないかなぁ。

今回のお気に入りシーンは、茗子ちゃんが東京駅になっちゃんを追いかけて行ったときの服装。プラットホームでなっちゃんと別れた時のタチンボ茗子ちゃん、みていて、なんで?つれていかないの?なっちゃんと思ったよ。なっちゃん、本当はかなりロリで茗子ちゃんの事、あんまり思ってないのかと思った。背景で流れてる音楽STORYは泣けてきますね。
 あと、図書館でなっちゃんに振り向く中3の茗子ちゃんもいいね。「卒業生の方ですか?」なんて素朴に聞くところも。
 PotePote、光希ちゃんの洋服にかいてあった文字、特に深い意味はないけど、ただ書いておきたくなった。

大杉駅さん

 さて、この話でもママレらしさがでてますね。
 アニメのママレは情景・雰囲気に合わせてのBGM・挿入歌がうまくマッチしているんですね。
 逆に、その曲だけをCDで聴くと、また、その情景や雰囲気が浮かんでくるのです。
 さて、今回は挿入歌についてのお話なのですが、最後の約束、これが曲者なんですね。
 この話で茗子がなっちゃんと別れるシーンにこの曲が使われているのですが、雰囲気がものすごくでているんですね。
 8/9やその前後に放送された『國府田マリ子のGAME MUSEUM』(ラジオ大阪・ラジオ日本他)の手紙で『あの、今にも泣きそうな國府田さんの歌声、歌うのが大変です』とあったのですが(その次の回の『迷曲のヒ・ミ・ツ』(ラジオ大阪のみ)で曲が流れた)本当にこれは國府田さんが泣きかけ歌っているようにきこえるのです。
 ですから、この曲が流れると涙を誘われて、泣きかけるんです。確か初めて見たときもそうだったのですが、今回もまた泣きかけました。でも、結局泣いてはいませんけど。
大杉駅さん連載、ママレな心理科Vol.9 in17話へ行く

さくらひ


ママレードガールズにおける瀬川さん評(尾張小牧同人ネットワーク内)
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 「ばーか言ってんじゃないよ、クラリス〜」状態なところを見ると、年上の男がうら若い乙女を引き離すときの常套句は、「おまえの人生はこれから始まるんじゃないか」的発言になるらしい。逆に年上の女が男の子をふる時には「こんなおばさんなんか相手にせずにもっと若くていい娘探しなさい」なんだな。(亮子先生が言うと似合いそう)しかしこんな言い訳はいくら優等生的であっても慰めにすらなりゃしない。人が人を突き放すとき、傷付けるものと傷付けられるものとの立場は明瞭で、それはいかなる理由の下でもフラストレーションを引き起こさずにはいられない。名村の言葉の内容は正しくても、茗子の悲しみの深さの方が感情論として先立つのだ。どちらが間違っているかという議論はたぶん意味を成さないだろうし、みんなが同じ論壇に立たなくては結論は出ないだろう。そしてそれは不可能なことだ。論じつめることよりも、名村が茗子を捨てて広島へ行ったという事実が重大だし、それでも尚茗子が名村を想う気持ちに変わりがないならば、それが最大の焦点なのだ。別れ際に名村のポケットへ入れたメダイユが多分、この後いつか二人を引き合わせることだろう。絆は、切れてはいない。しかし今は名村の決心を変えることは出来ない。抱き締めてはくれても、彼は茗子のくちづけに応えてくれなかった。瞳を閉じない拒否の意思表明に茗子が気付いたことが悲しかった。茗子と一緒に、走り去る新幹線の窓越しに名村の姿を追ってしまった。二人とも心の傷は深く、少しでも癒えるのには時間が必要だ。再開の日まで、静かに待とう。
 というクライマックスになだれこむ前に、番組の中でなかなか見えてこなかった茗子と名村の初対面の頃のエピソードがようやく流されたのは、嬉しい出来事だった。中学三年の五月、高等部の付属図書館で出会った二人。ちょっと先生らしくない先生と、愛を初めて知った純な女生徒が、毎週逢う瀬を重ねるうちに魅かれあっていく様子が手に取るようにわかる。特に茗子の揺れる気持ちが痛いほどに……。手帳を見て叱られたショックと、次の週、もう会ってもらえないと気付いた時の喪失感。そしてそれが誤解であるとわかったとき、ぼろぼろと大粒の涙が少女の瞳から零れ落ちる。せきを切ったように泣き出し名村の胸に飛び込んだ茗子は、絞り出すように愛の告白をする。茗子の純愛があまりにもいたいけな姿に見えて切なさが込み上げてくる。思いが強ければ強いほど、今の二人は傷付け合うことしか出来ないのかもしれない。
 押さえきれない愛の衝動を胸いっぱいに溜めながら、現代のロミオとジュリエットは東京駅のホームで悲しい別れを迎えるより他なかった。茗子がまだ若すぎることが、「待っててくれ、いつか迎えに来る」という、当たり前な恋人達の言葉を奪ってしまった。名村の配慮は大人としての立場からは仕方ないことかもしれないが、茗子にとっては救いどころのない別れになってしまう。けだし、愛だけで全てを乗り越えることは出来ない。愛だけで人をしばることもできない。
 あーもう、それにしても親友であるはずの光希のふがいなさよ。べそかいて閉じ籠っているだけのおばかさんには流石に苛立ってくる。ぴーぴーと子供のように泣いて、茗子の別れの言葉も友情の陳謝もまるで聞いちゃいない。駆け落ちの決心を悟って遊が光希を強引に連れ出さなければ、ベッドの上でいつまでもうじうじ泣いているだけだったろう。こいつは本当に肝心な時にまるで情け無いというか、たいがいお子様にかえってしまうわけで、遊君でなくてはとても面倒見切れず愛想を尽かすに違いない。そういう意味では保護者たる遊の存在は認められるのだが……今の茗子の悲しみを一人で背負いきれるのか、光希! いや、それが彼女にとって荷が重すぎるのだとしても、今、傷付いた茗子がすがりついて泣ける相手は光希しかいないのだ。親友の光希でなければだめなのだ。だから、友の為に大人にならなくては。なってくれよ、頼むからさ……

18話予告
光希 「茗子のことどうなぐさめたらいいのかわかんないよ〜」
「大丈夫、脳天気なおまえ見てれば誰だって元気になるよ。」
光希 「ねえ、銀太がピクニックに行こうって!え!?亜梨実さんも...?うん、にぎやかな方がいいよね、茗子のためだもん!」
ママレード・ボーイ
恋のゆくえ
「思い通りにならないね」

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