五日目の記憶後半

2005年12月4日/15時半ごろ。
始まりの岩場の更に向こう、 決して開くことのなかった果ての扉は、古の剣の光によって今開かれた。 これが最後になるであろう道を、アグロと共に進む。 見晴台に祈りをささげるのもおそらくはこれで最後。 傷ついたその身の異変を、ただアグロだけが見ていた。
最初に第一の巨像のいる所に上っちゃったのは私です。 おかしいとは!おもったよ!でも「アレー、もしかして最初の場所にいくの?! いっちゃうの?!」てオロオロしちゃったんですよ! しかも、南の果ての門の存在をそれまで気づいていなかった一直線ぶり。 どうなのかしらネ!
剣の光は見上げる遺跡の上を示していた。だが、 そこへ至るには断崖にかかるこの石の橋を越えねばならず、 そしてその橋は、長い時をへて半壊さえしている。 目と、手でその距離を測り、ワンダはアグロに跨った。 全力の跳躍に備えた後退。 その予感に小さな嘶きをもらす愛馬の首を、軽く叩いてやる手。 覚悟を決めた一人と一頭が、谷間を一つの影となって飛んでいく――。 宙をかける間は瞬き一つにも及ばずに、硬い蹄が石の橋に舞い降りる。 だが、その衝撃は致命的であった。 着地の代償であるかのように崩壊していく細い一本の道、 対岸へと駆けるアグロ。 だが、無慈悲にも共に駆け抜けた愛馬の足を絡めとり、 主ごと谷底へ引き落とそうと、崩れていく。 ―――高い嘶きが谷を反響した。アグロが前脚を振り、 残った石材を蹴り、思い切り首を振る。 大きく振るわれた上体より振り飛ばされるワンダ。 対岸の遺跡を転がり、その痛みに驚きすぐさま身を起こす。 痛みよりも驚きに見開かれた目に映ったのは、 石橋もろともに落ちていくアグロの姿。 落ちる―――落ちていく―――深い深い断崖の底の、 水の中に消えた黒い小さな姿。
アグローッ!!!
まずは一人でチャレンジし、砂浜に叩きつけられてデッドエンドし、 二回目にアグロとチャレンジし、届かずに叩きつけられてデッドエンドし、 三回目じゃコリャー!と挑戦したところ、 ワンダと一緒に血の叫びを行ったわけです。 コントローラーを握ったまま呆然としましたよ・・! 正直、デッドエンドしたときよりもこの衝撃はでかかった・・・!

高みから放たれるいかづち。 直撃は避けたものの、衝撃で地下壕に転がり落ちる。 もうもうと舞い上がる土煙の中、打ちつけられた全身がぎしぎしと痛む。 元は神殿であったのかもしれないその遺跡は、転々と残された壁や柱と、 地下を抜ける道で作られていた。まっすぐ進めば、 たどり着くことなく果てたであろう巨像への道を、 遠回りをしながらではあるが着々と進めさせてくれる。
時間が―――ない。
塔のような外壁を、飛び上がり手をかけ引き上げる。 更なる高みへ、更に高くと目指し上っていく。大きな大きな巨像に張り付く、 あまりにも小さなワンダ。耳に響くのは唸る風と、ドルミンの言葉。
此処へきて邪魔者が、時間が―――ない。

当初、一直線に駆け出そうとしたところ、高所からの迫撃砲にて ホントに死ぬかと思いました。地下道に転がり込めば良いと気づくまでに、 何度HPバーが点滅したことかっ!その後も、壁のような巨像を延々と上り、 手から手へのアクロバット、不安定な巨像の手の上から矢を射るなど、 いままでの中で一番集中力と攻略時間を越えて・・ッ!!
吹きすさぶ風の中、光を放つ巨像の頭部へと、 ちいさなちいさな剣が突きたてられる。 その瞬間、自分に取り付いたこの生き物を、戦士を振り落とそうと、 もがいていた動きが止まった。 ――――そうして、空さえも息を潜める中、 最後の巨像はゆっくりとその地に崩れ落ちていく。 古の神殿、そこの住んでいた最後の巨像は、 物言わぬ遺跡群の中へゆっくりと同化していった。

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