『Japanese Dream Music Chronicle』の中で「ひとり」が出来るまでを村上氏へのインタビュー及びプロデューサー、事務所社長までをも巻き込んで展開されているのだが、ここでも語られている通り「アカペラ門」で新曲として出したのが「ひとり」に至る過程、その発端である。
(このテキストはゴスペラーズに関するテキストの中でもインタビュー内容といい、ヒットまでの検証アプローチといい「素晴らしい」と思う、是非捜すなり借りるなりして一読して頂きたい。そういう文章であり、価値があると私は思う)
けれど、どうして「アカペラ人形」に関して評価が高かったのだろう?というところに軽く踏み込んでみたい。
同い年の黒沢が「1000℃の熱さでこの想いを」@「Sparklin'」と、ゴスペラーズ初期の段階で恋愛における感情発露がストレートな中、人間性を物語るように発露がストレートでもなかった(爆)のが村上てつやという歌い手だった。
象徴的だと私が思うのが、ライブでの「靴は履いたまま」2番における「君がッ、好きだあぁあぁあぁ」のマイク外しての絶叫(笑)に尽きる。
その「村上てつや」という歌い手が殊更避けるように口にしてこなかっただろう、過去に吐き出してこなかったフレーズこそ「アカペラ人形」及び「ひとり」に共通して置かれたサビ頭の「愛してる」だった。
それだけに「愛してる」で始まった、この曲の衝撃は大きかった。頭の「愛してる」で「うわあ!!」とならずにいられなかったのだ。
「村上の口から愛してるって言葉が出たよー」
誰だって「こうだ」というイメージを良い方に裏切れば、当然、好印象に転じる。村上てつやの口から発せられた「愛してる」というのはソイツだった。だから評価が高くなるんだ(苦笑)これが。私の第一印象もすこぶる良かったもの。
けれど「アカペラ人形」に流れる男の女々しさが感じられた歌詞は「ひとり」に至るまでの過程でなくなってしまっていた。歌詞が直されていたのは、聴いて直ぐわかった(同じくらい、いやそれ以上に「One More Day」はわかってまう)。それだけファーストインパクトが強かったのだ、といえる。
c/wの「東京スヰート」は「告白」「Beginning」あたりで垣間見えたAOR路線寄りのソウルを推し進めた形の曲。
この曲「Beginning」でアジをしめたのか北山さんスタートの曲でもあります。「月光」からシングルとなった「約束の季節」へと至る過程では、飛び道具的に「北山の高音」というのを使っているんですが。
…、正直なところ。飛び道具に思えるのはゴスペラーズを熟知するファンの中だけであって、ゴスペラーズへの予備知識のない人が姿を観ることなく音だけ聴いたら、北山さんが高音だから珍しいだの彼が低音担当だのなんて判別つかないんじゃねえかと思うんだが(起爆)
それを差し引いても北山・村上という二人が組むと「声質、違うけどベースが似てる…ってーのかなあ」という点で、曲の世界のまとまりを壊さないで行けるのだなという、新たな発見がありますね。北山・酒井というコンビだと違うからこそ出る相乗効果で魅了する。
ゴスペラーズの、ソロとソロとのコンビの組ませ方。かけ合わせの妙で楽曲が倍になったり、世界観が押し出されたり。というのが働いている好例じゃないでしょうか。
「永遠に」の「unplugged live version」は、んーー…、ベタ過ぎて個人的に好みじゃない(起爆)
自分の中のキングオブベスト状態な「永遠に」はオリジナルのバックアレンジ、あれのロングバージョン。つまり「unplugged」の長さでオリジナルのバッキングで。つまりは「坂ツアー2000」当時のアレンジに尽きていて。それ以上にならないだろうと思うからか、点が辛く…
「こういうやり方もあるんだ」と思えば聴けるものだし、各自のパートの聞き分けには音数が少ないだけにコピーしやすいとは思いますが…、くらいしか言えないですね(自爆)本当に御免なさい。
正直、このシングルに関しては「褒める」「良さを発見する」というのが自分でも出来なくています。
何だろうなあ…、特に「ひとり」は。この曲、褒める取っ掛かりがないんですね(自爆)むしろ「ツッコミ甲斐に満ち溢れている」わけでして。
「愛してるって最近」からのフレーズで「それは口先だけってことだろ、村上」と仰ったピストン西沢氏@『GROOVE LINE』であるとか「愛してるなら言えよ」と両断した坂下千里子ちゃんであるとか…、そういった事柄ばかりが先に立つ(大爆笑)
やっぱり、千里子ちゃんの番組にゲストで出た黒沢さんが言い切った「アカペラ演歌」というのが「ひとり」を端的に、かつ的確に表現してるのやもしれませぬ。
この曲の当時はテレビなどの露出の激しい最中、彼らの表情を見て「ああ、この人たちは歩いていける」と妙な安堵を覚えていたのと。同時にファンを辞めたい勢いがあった(大爆笑)隠居引退どころか失踪寸前、みたいな空気が自分の中にモコモコたち込めていて吐き出せずにいたなあ、と。そんなことばかりを覚えてますね。
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